さまざまなウェブメディアや
『anan』『婦人画報』などの人気雑誌で執筆する他、
ご自身のBLOG『京都くらしの編集室』で京都ライフを発信している
京都在住フリーライター・江角悠子さん。
彼女ならではの視点で
京都のおつけもん屋さんを訪ね歩きます。
お店の個性やオススメの逸品、
ありきたりじゃない京のおつけもんが揃っています。
ツウな情報をお楽しみください!
京都ライター江角悠子の
京都おつけもん探訪記
Kyoto Otsukemon Exploration
Part.29
京つけもの ぎおん川勝
Kyotsukemono Gion Kawakatsu
祇園祭で有名な八坂神社。そのすぐ目の前に店舗を構えるのが「ぎおん川勝」です。「川勝」といえば、以前この連載で紹介した「川勝総本家 本店」とは、どんな繋がりがあるのでしょうか? ぎおん川勝3代目の村上潔さんに尋ねてみました。「この店が創業した昭和5(1930)年、川勝総本家さんから独立して今の店がスタートし、おかげさまで昨年90周年を迎えることができました」。
漬物が並ぶ店舗の奥に、季節ごとの漬物とお茶漬けが楽しめる食事処「ぶぶ家」のスペースがある。
村上さんは兵庫県川西市出身。大学進学で京都に来て、学生時代にぎおん川勝でのアルバイトがきっかけで、今では3代目を務めることになったそう。「最初は手に職をつけたくて、料理人になろうと思っていました。それが、ここでアルバイトをさせてもらうようになり、先代のモノづくりに対する姿勢を間近に見て、職人肌気質なところ、その人柄に感銘を受けました。また先代の娘さんとのご縁もあって、3代目をさせてもらうことになったんです」。
漬物は店頭で販売するほか、花街がある祇園という場所柄、料理屋への卸も多いといいます。「先代は配達に行くと、先々で料理人さんと厨房で話をして、そこからいろんな着想を得て、漬物づくりに活かしていました。よく和食で柚子皮が使われますが、漬物でも合うんちゃうかとか。ゆず大根も元々そんな風に生まれて、おやじがいろんな漬物屋に“これおいしいからみんな作りや~”みたいなことを言ったというのは聞いたことがあります」。なんと!今や漬物の定番・ゆず大根誕生にそんな秘話があったとは。「おやじは、今でいう商品開発をしてたんでしょうね。うちはホンマに祇園の料理人さん、職人さんに育てられた漬物屋だなぁと思ってます」。
11種もの漬物が一度に味わえる「ぶぶ漬」(1,650円)のほか「じゃこ茶漬」「うなぎ茶漬」も。お櫃のご飯は2回までお代わり可。
25年ほど前には、いろいろな漬物が味わえるお茶漬け屋「ぶぶ家」もオープン。「懐石料理など、和食で締めとなる漬物がおいしくなかったら、全てが台無しになってしまいますよね。食事の締めとなる一番大事な部分にクローズアップして、ご飯とおつけもんを楽しんでもらえたらと始めました」。ご飯と一緒に食べるからこそのおいしさがあるのが、漬物。お食事処があることで、おいしかったと直接感想を聞かせてもらえるのが何よりうれしいと話します。コロナ禍で先の見えない今。今後については「自分とこのファンをコツコツ増やしていきたい」と村上さん。「私自身、ここのおつけもんのファンなので(笑)良さをしっかり伝えて、そういう人をもっと増やしていきたいですね」。
ライター江角の
イチオシ商品
長いもぼん酢漬
600円(税抜)
村上さんと先代の娘さんが結婚する際、記念に先代が新しい漬物を作りたいと料理人に相談。それならと提案された食材が長芋でした。サクッとした食感の長芋をぽん酢で漬け込んだ一品。ぽん酢は、ゆずとすだちが好きだったという先代が、オリジナルの配合で作ったもの。あっさりとした味わいは、酒のおつまみにもピッタリです。
京つけもの ぎおん川勝
京都市東山区祇園石段下上ル祇園町北側297
TEL :075-561-1745
営業時間:10:00~19:00
休み:水曜定休