さまざまなウェブメディアや
『anan』『婦人画報』などの人気雑誌で執筆する他、
ご自身のBLOG『京都くらしの編集室』で京都ライフを発信している
京都在住フリーライター・江角悠子さん。
彼女ならではの視点で
京都のおつけもん屋さんを訪ね歩きます。
お店の個性やオススメの逸品、
ありきたりじゃない京のおつけもんが揃っています。
ツウな情報をお楽しみください!
京都ライター江角悠子の
京都おつけもん探訪記
Kyoto Otsukemon Exploration
Part.21
京つけもの富川
Kyotsukemono Tomikawa
枯山水の石庭で有名な龍安寺の門前に店を構える「京つけもの富川」。近くには、金閣寺や仁和寺もある名所ぞろいのエリアです。先代が、昭和46(1971)年に北区にある公設市場で漬物屋を創業。その後、2002年に現在の場所に新店舗をオープンしました。現在は2代目となる富川恭裕さんが後を継いでいます。
バス停がすぐ目の前という立地。観光の合間にも気軽に立ち寄れる。
「漬物づくりについては修業に出て学びもしましたが、先代からは塩をケチるな、重石をケチるなと教えられました。重石をかけて、しっかり水分を抜くことで、野菜本来の歯ごたえが感じられる漬物になるのです」と富川さん。またいい原料を使えば、いい漬物ができるという信念から、中央市場で野菜を仕入れる以外にも、園部に2000坪の自社農園を持ち、自ら畑へ出向き、野菜を育てているとのこと。間引き菜を使ったお漬物もあり、「自社の畑で、できるだけ農薬は使わず育てているからこそ、作れる商品です」と胸を張ります。
店内では、お漬物やおばんざいが楽しめる食事を提供するほか、自家栽培のお米で作ったおにぎりもオーダー可能!
漬物を作る工房は店舗のすぐ下。「まとめて大量に作るということはせず、小さな樽で、味加減を見ながら作っています。手間はかかりますが、野菜の状態はその時々で変わってくるので、その方が調整しやすいのです」。
店内には、ずらりと漬物が並び、オススメの漬物を試食できるようになっています。白菜や大根、ごぼう、キュウリなど、定番のお漬物の中に、つるんとした半透明の不思議な漬物を発見。見てみると、なんとそれはコンニャク!!「近ごろ、ちょっとお腹が出てきてしまったので、ヘルシーな漬物はできないか…と考えて、思いつきました(笑)」と、ユニークな発想で独自のお漬物を生み出す富川さん。生まれて初めてコンニャクのお漬物をいただきましたが、紫蘇の風味がよく軽い食べ心地で、想像以上の味わい!「こだわりの材料のみならず、よそにはない発想で漬物を作っています」
今回取材時に、この時期限定のかぶら菜の間引き菜で作られたお漬物も薦めてもらいました。「かぼすを搾って、醤油をかけて食べてみて」と教えていただき、さっそく自宅でやってみたところ、シャキシャキの食感に塩気とかぼすの風味が合わさって、と〜ってもおいしかった!!お店に行かれた際は、ぜひ皆さんもその時期オススメの商品&食べ方を尋ねてみてください。間違いないアドバイスをしてくれるはずです。
イチオシ商品
きぬかけ漬け
626円
金閣寺から龍安寺、仁和寺にいたるまでの通り名「きぬかけの路」が商品名に。真っ白な大根に縦に切り込みを入れて、絹に見立てています。この切り込みがあるおかげて、いざ食べるときの手間も少なく食べやすい。甘酢漬けであっさりしていて、毎日食べても飽きないおいしさ。パッケージには石庭のイラストも描かれており、京土産にもぴったりです。
ライター江角の