さまざまなウェブメディアや
『anan』『婦人画報』などの人気雑誌で執筆する他、
ご自身のBLOG『京都くらしの編集室』で京都ライフを発信している
京都在住フリーライター・江角悠子さん。
彼女ならではの視点で
京都のおつけもん屋さんを訪ね歩きます。
お店の個性やオススメの逸品、
ありきたりじゃない京のおつけもんが揃っています。
ツウな情報をお楽しみください!
京都ライター江角悠子の
京都おつけもん探訪記
Kyoto Otsukemon Exploration
Part.19
京漬物 きむら
Kyotsukemono Kimura
「京漬物きむら」がある南禅寺のほとりは、名勝 無鄰菴がすぐ目の前にあり、朝がゆで有名な「瓢亭」もすぐそばと、名所ぞろいのエリア。お店の代表の長瀬正信さんは、千本商店街の中にある「こじま商店」で漬物作りをしていた経歴を持ちます。「以前、こじま商店で社長をされていた方の息子さんが同級生だったんです。大学を出てサラリーマンとして働いていたのですが、何か別のことをしようと考えていたタイミングで、声を掛けてもらい、4年ほど働かせてもらいました」
お店は、なんとも京都らしい風情のある佇まい。元々はご両親が住んでいた実家だった場所。名所観光に合わせて立ち寄りたい。
その後42歳のときに独立、山科で独自に漬物作りをスタートさせます。「こじま商店では主に店に立つ販売を任されていました。店頭でいろいろなお漬物を見たり、食べたりするうちに、自分ならもっとこんな味付けにしてみたい、もっとこうなら…という思いが湧き上がってきたのです。そこで、一度は自分の思うようなやり方で漬物を作ってみようと独立を決めました」
そうして、みようみまねでやり始めた漬物作り。すでにある程度確立されている味から飛び出したら、どんなものができるのだろう。市場から届く野菜をどう加工したらおいしくなるのだろう。試行錯誤する中でも大切にしてきたのは、「自分の好きな味を追求すること」でした。「こじま商店には80歳くらいの職人さんがいて、その方が漬物はおいしくなあれ、おいしくなあれと気持ちを込めて作るもんやという話を聞かせてくれたことがありました。それがすごく心に響いてきて、以来、私も漬物作りをする上でいちばん大事にしています」
昔ながらの漬物屋さんを思わせるような店内。漬物のほか、「ちりめん山椒」も人気。あっさり・ピリ辛・甘口と、炊き方を変えた3種が並ぶ。
今は次世代を担う息子さんに漬物作りを手伝ってもらいながら、長瀬さんは新商品開発に取り組んでいます。若い人たちの間に漬物離れが広がり、市場が狭くなっている今、世界中の人が食べられるような漬物があればもっと市場が広がるのではないか。「ドイツにザワークラウトがあるように、漬物もまた少しカタチを変えれば、世界中の人に受け入れてもらえるのではないかと考えて、次なる商品を考えています」
日本だけではなく、世界を視野に入れて漬物作りをしている長瀬さん!世界に羽ばたく新商品が生まれたときは、ぜひまた取材させてもらいたいと思います。
イチオシ商品
昆布〆大根
528円(税込)
大手ホテルの和食部門でも認められた自慢の逸品。半割りにした大根を、利尻昆布を使ったダシで漬け込む。しっかり塩漬けすることで水分を出し切り、昆布のダシと調味液のうま味を染み込ませ、1週間かけて作られます。あっさりした風味なので、お好みでしょうゆをかけたり、もちろんそのままでカリッとした歯ざわりを楽しんでも!
ライター江角の
京漬物 きむら
京都市左京区南禅寺草川町35-4
TEL:0120-48-4148
営業時間:9:00〜17:00
年中無休