さまざまなウェブメディアや
『anan』『婦人画報』などの人気雑誌で執筆する他、
ご自身のBLOG『京都くらしの編集室』で京都ライフを発信している
京都在住フリーライター・江角悠子さん。
彼女ならではの視点で
京都のおつけもん屋さんを訪ね歩きます。
お店の個性やオススメの逸品、
ありきたりじゃない京のおつけもんが揃っています。
ツウな情報をお楽しみください!
京都ライター江角悠子の
京都おつけもん探訪記
Kyoto Otsukemon Exploration
Part.7
京都漬物香房 てが
Kyoto Tsukemono Kobo Tega
京都の中でも、いまだ色濃く下町風情が感じられるエリア、西陣。その中でも、いろいろな店が軒を連ねる賑やかな大宮通に面しているのが、「京都漬物香房 てが」です。訪れたのは、週に1日だけお店を開くという水曜日。初代・父親が始めた漬物店から独立して、お店をオープンさせた社長・手賀清一さんにお話を伺いました!
店舗は、毎週水曜日にだけオープン
週に1日だけオープンする理由は、「卸売りが忙しくなってしまって、お店を開けられるのがこの日だけなのです。お店を開けると、近所の方や弘法市でファンになってくれた方が来てくださいます」。
実は手賀さん、独立前から父親の反対を押し切って、弘法市に出店を始めたのだといいます。弘法市とは、京都駅から徒歩10分の場所にある「東寺」で、毎月21日に開かれる縁日のこと。ここに出店していた際に東寺の住職が来店し、大根のぬか漬を気に入ってもらったことから誕生したのが、今や、てがの人気商品となった「東寺漬」です。
弘法市に出店しているときの様子
今年で出店し続けて45年。「東寺漬を1日で100本を売り切ったこともあります。とはいえ、東寺漬の中身は、昔ながらのシンプルなぬか漬けですよ」と淡々と話す手賀さん。ですが、大根は季節ごとに産地を変え、その時々で一番おいしいものを全国から取り寄せるほか、野菜を見ながら、ぬかとだしの割合を変えるなど、完成に至るまでに並々ならぬこだわりが感じられます。
最近は、若い人にもっと漬物のおいしさを伝えたいと、型にハマらない、多彩な味わい方を考案。たとえば、夏に人気なのが、水ナスの漬物を凍らせて味わう「氷雪」。生の水ナスとは違った味わいと、シャリシャリとしたシャーベットのような食感が楽しめる逸品だそうで、話を聞いているだけでもおいしそう! また、漬物を卸している居酒屋「二条城おはな」には、奈良漬けとチーズを混ぜ合わせた料理を発案して、同店でも人気メニューとなっているといいます。
弘法市のように、店舗だけではない新しい場所を開拓したり、漬物を凍らせるという新商品を生み出したり…。そのバイタリティーは一体どこから来るのかと思い、最後に尋ねてみると、「みんなにおいしく漬物を食べてもらって、ゆくゆくは漬物業界全体がもっと潤っていったらいいなってね」との答え。目先の利益などではなく、広〜い視点で世界を見ている、手賀さんの懐の広さを思い知ったのでした。
イチオシ商品
千姫
1袋648円(税込)
冬だけのお楽しみである「千枚漬け」を、何とか通年楽しめないだろうかと考案したのが、てがのオリジナル商品「千姫」。千枚漬に変わる素材として、通年手に入る大根を素材に、千枚漬の技術を投入。千枚漬とよく似た風味ではありますが、隠し味に甘酒を使用しているので、ほんのりとした甘味も感じられます。赤紫蘇で染まったピンク色もとてもきれい。千姫というネーミングもかわいらしく、京土産としても良さそうです。
京都ライターの
京都漬物香房 てが
京都市上京区大宮通り寺之内上ル三丁目筋違橋超542
TEL:075-432-5558
営業時間:10:00~14:00
毎月21日は東寺の弘法市に出店
水曜日定休(AM10:00~PM2:00)